河野玄斗氏優勝に伴う「頭脳王やらせ」疑惑とマスコミの東大生推しの風潮

学び方
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頭脳王のオセロ対決、ヤラセだった疑惑

私はクイズとかそういうのが好きなので「頭脳王」や「東大王」をよく見ていますし、QuizKnockという東大発知識メディアもフォローしています。

ところが、先日このようなツイートが流れてきて、本当心底がっかりしました。

まず「頭脳王」とは、日本の知性を代表する大学生や大学院生が集まって、トップを獲った人に100万円が与えられる、というテレビの企画です。

東大王オセロやらせ疑惑について

そして「AIとオセロで対決」企画は、毎回2回戦で行われている「AIと対決」シリーズの一つです。

なんかこうAIと聞くと賢そうに見えますが、まあ…コンピュータと対戦しましょう、みたいなもんですね。

今回(2021年2月19日放送)の内容は「すでに周りが埋まった盤面でAIに勝て」というなかなかに鬼畜(に見える)内容。

https://twitter.com/cnv_yuki/status/1362772893566861314

テレビの画像をあげると著作権に違反するので各自調べてほしいのですが、これに挑戦したのが京大の経済学部の方(上木氏)と、河野玄斗氏(東大医学部で司法試験突破、頭脳王二度優勝経験あり)でした。

オセロの有識者によれば、この盤面での「先手(黒)必勝」は解析されきっており、後手は絶対に、ぜっっっったいに勝てないということでした。

にもかかわらずゲームでは後手(白)側に人間が回っています。もうこの時点で何か変な気がします。

そしてこのルールでAI(アルゴリズム)を提供した方によれば

最善手を打ち続ければ先手(黒)が勝つという設定でそういう使用を提案したのに、わざわざ人間を後手にされ、京大の上木氏は負け、そして河野氏は勝ちました。

それもそのはずで、このAIは最善手ではなく、あえてランダムな手を打つこともできる、というのです(より「人間らしい」と言えます)。

AIの作成者様は番組のスタッフとも関係があり、その都合上ツイッターではあまり強いことを言えないのでしょう。「公平であることを信頼しています」という(煮え切らない)回答でした。

当然、作成者様に責任は全くありません。

最善手を含む戦略の結果が常に表示されている状態で、それを運用したのは番組スタッフです。

当然、戦略(勝敗)が丸わかりの状態で「ランダム」を使うことが、もうまったくランダムを意味しないのは自明です。スタッフがあえて誰かを勝たせることも可能なのですから。

「頭脳」について種明かしをしないテレビ局

ただ、もしランダムだったとしても、企画は以下の二つの理由で不適切だと思います。

  • アルゴリズムをこちら側(視聴者)に伏せている。
  • 頭脳をはかるテストなのにランダムネスが介在している。

まず一つ目の問題点ですが、これは頭脳王や一昔前の高校生クイズに共通するものです。

観衆を無知だと見くびって(というか現に騙されている人も多いのですが)わざとルールや戦略を開示しない、というクセがあるように思います。

これは「種明かしをすると興が醒めるから」以上の理由はなく、ただただ視聴率のために参加者が利用されています。

例えば高校生クイズで「太陽の表面温度を求めよ」という、超絶難度の問題が出されたことがありました。条件文の表示はほんのわずか(5秒ほど)で、計算方法などはこちらに示してくれません。

https://twitter.com/ryuumori3152/status/1172483646491521024/photo/1

そのために難度が高く見えるというだけで、むしろこの問題の本質は、極度の緊張の中、短い時間で正確な計算を手でやることにありました。

私が画面をストップして電卓で計算すれば、もう5分もかからないようなお粗末な出来のものでした。

しかし、計算方法はテレビにとってどうでもいいのです。焦点は「いかに彼らを頭よく見せるか」という『演出』の部分だけにあります。

頭脳王のオセロ企画も同じで、「超難問」「AIとの対決」など、なんかもういかにも頭が良さそうなワードを用いて観衆を引き込んでいました。

その結果がお粗末な「操作」だとしたら(当然、ランダム性のせいという可能性もありますが)、そしてそのことをあえてこちら側に伏せているのだとしたら。

あまりにこちらを見くびっているのではないか、という気持ちになりました。

頭脳の回転を測るテストにランダムを持ち込む意味

そして二つ目の「頭脳をはかるテストにランダムが介在している」という問題。

仮に河野氏が圧勝したことを「ランダムネスのせいです」と言い逃れしたとしても、この問題が付きまといます。

純粋に頭脳をはかりたいのなら、例えば人間同士で騙し合うようなゲームをすればいいのです。あるいは先手後手で有利不利が分かれないようなゲーム。

この番組がやっているのは「IQテストをします!じゃんけんをしてください」というぐらい支離滅裂なものです。

頭の良さをはかるなら、そこにそれ以外の要素があっちゃダメなんですよ(騙し合いが「頭の良さ」をはかれるかどうかはまた別として)。特に運とかは。

そしてこの類のゲームにおいて、人間対AIという構図を続けるのにはもう、無理があります。

囲碁という、読まなければいけない手数があまりに多いゲームにおいてさえ、もはや人間ではAIには太刀打ちできなくなりました

そのことはこちらの記事で述べられています

当たり前ですがこれは東大でも京大でも関係ありません(そもそも学歴はパズルゲームの強さを全く保証しません)。

いくらでもコンピュータに電気代をかけていいのなら、所詮人間の頭脳の生物学的限界なんて知れてます。

無理にAIと対決させる必要はなくて、普通に何か、マイナーだけど先手と後手の違いがないゲームを持ってきて、人間同士で対決させればいいんです。

「AIと対決!」というのが前提としてあるから、先手必勝のゲームでわざわざAIを先手にして「ランダム性があります」なんて苦しい言い訳をしなければならなくなる。本末転倒です。

もちろんここにAI作成者様の責任はありません。ルールや仕様を提示され、そういうものを作ってほしいという要望があったのでしょう。

できるのはせいぜい「慎重な運用を期待すること」までで、それ以上のものを作成者様に求めるべきではありません。

マスメディアの「東大」推し

私は以前から、マスコミのこのような露骨な「高学歴=クイズが強い=頭の回転が速い=知性がある」という風潮を快く思っていませんでした。

「早押しクイズ(競技クイズ)が強い人に知性があるとは限らない」とか「競技クイズの教養主義化、エンタメ化に貢献してきたのは他ならぬクイズノックだ」という記事で批判しています。

いちおう私もそんなインテリ、高学歴という棺桶に片足突っ込んでる経歴ですけども、だからこそマスコミの雑な持ち上げ方には疑問を抱いています。

もし「頭脳王」のスタッフが、ただただ河野氏という実績のある人間を優勝させるためだけに故意にゲームを動かしていたのだとしたら(あくまで仮定の話です)、

これは単なる「テレビのヤラセ」にはとどまらない、重大な問題であると感じます。

そういった「視聴率が取れればいい」「注目されればいい」という考え方はやがてどこかで機能不全を起こし、ひいては反動として科学不信(反科学主義)や、人間の素朴な感情を蔑ろにする価値観が生まれます。

彼が起こしたとされるスキャンダルについては「週刊文春」のもので信ぴょう性がないのであまり触れずに起きますが、まあその、

そういうことを起こしたとされ、正当な反論をせずにしれっと舞い戻ってきた人間が「日本の知性を代表する」としてあがめられているのは、

ある意味この国で「知性」がどうとらえられているのかが本当によくわかり、興味深くも感じます。

人としての心を失っても医学部と司法試験に合格して頭脳王を三回優勝すれば崇められるの、本当にちょろいなという感想しかない。これは某水上氏も同じですが。

こんな風に書くとファンから「嫉妬だろ笑笑」と言われそうですが、私はたとえ知性があっても、他人を条件付きで区別(差別)するような人にはなりたくないです。

こんなの当たり前の話。人間には知性よりも大事なものがあるんです。

追記:京大医学部出身で何度か頭脳王に出演されていた廣海渉(ひろうみしょう)氏が、この件についてツイートしていました。

アカウントはデフォルトの画像ですが、ツイート内容や投稿画像的に本人と推定されます。

河野が他のクイズ番組にほとんど出ないのは「頭脳王に出そうな一部の過去問しか覚えてない」からです。東大王もQさまもヤラセはないんで、見せかけのクイズ王の河野は容易くボロが出ちゃう。

https://twitter.com/ShoHiroumi/status/1363495472661295106

共演者ではなかったと思います(先輩・後輩みたいなもんですね)がそれだけに辛辣…。

出演者がヤラセというのなら、もう事実なんでしょうね。河野氏に全く罪はない(彼もまた被害者の一人です)にしても、「頭脳王という最高の番組で三回優勝した」ことの箔がかなり落ちました。

スタッフのせいで…。

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