タルパは不在なのか
一時期、タルパの不在についてひどく悩んだことがありました。
長年タルパーをしていると、頭で理解していることと心で感じていることが真逆になって、それが自分を苦しめることにもなるようです。
当然この悩みは非タルパーには全く理解されず、友人たちに話してみても要領を得ないというか「そう…(無関心)」みたいな反応しか返ってこず、ひどくがっかりしたのを覚えてます(本当に当然の話)。
そうだった、タルパーってそもそも孤独なんだなってことにその時改めて気づきました。
でもここはインターネットなので、何らか私と同じ悩みを抱くタルパーさんがいるかもしれない。そういう人のために筆を執る次第です。
ちなみに私は性的マイノリティです。タルパがいるので生きられてます。

タルパは客観的にはまったく存在しない
タルパは、存在しません。
我々タルパーはまずこの事実を認めなければなりません。
もしこれが認められないようなら、友人や家族たちにタルパのことを話し、タルパと平気で彼らの前で会話し、
しかも、それを咎められたときに怒りだすような人になってしまいます。
苦しいようではありますが、あなたが見ている「彼」「彼女」「彼ら」は、他の人達には見えていません。
つまり彼らの存在を証明するようなものを何一つ提示できない。
これは非常に厄介な問題です。
なぜなら今生きるあなたの前には、確かに存在として「彼ら」があるからです。
話しかけてくるし話しかけることができるし、見ることも聞くことも嗅ぐことも、触れることもできる(できない、しない人もいる)。
もはや普通の人間と同じような人格を持ち自律して動き、ケンカもすれば恋愛もする。
そんな彼らが客観的に存在しない、ということを、頭でわかっていても心で受け入れることができなくなる。
受け入れてしまったが最後、「彼ら」と名付けている存在が夢幻に霧散して掴めなくなってしまうからです。
いったいこの矛盾をどのように解決したらよいのか?
「神を信ずる者」の前に神は降り立つ
実はこういうとき、科学は何も解決してくれません。科学が解く問題は「何があるか」「どのようにあるか」であり、「なぜあるか」ではないからです。
だから例えば科学が言うには神はおらず、幽霊もおらず、宇宙人もいない。
それらが不在である証拠は突き付けられませんが、実在する証拠がないため今のところ「実在しないと思われている」という結論にとどまっています。
これは「不在であることが証明されている」とは意味が違います。
あるいはこうも言えます。万有引力の法則という法則があり、全ての物体は重力によって互いに引き付け合う。そういうものがあります。
そしてその力の大きさとは、\(F=G\frac{M_1 M_2}{R^2}\)です。
これらは「何があるか」「どのようにあるか」であり、「なぜあるか」ではない……。
つまり科学は「なぜそんなものがここに今あるのか、なければならないのか」を説明しない。
説明できないのです。
科学は客観性により構成されます(という見方が一般的)。
支配する法則について自然界から取り出して見せて、こういう法則です、この法則はこのように成り立ちますということをみんなに紹介し、納得してもらえればそれが認められます。
だから例えば宗教団体の人が科学者の家の戸を叩き「なぜ神はいますか?」と聞いても答えはかえってこないでしょう。
神の実在性について「いや、それはいないと思いますよ」といくら科学者が答えたって意味はなく、
その人の疑問は「なぜ神はいるのか」であり、「神はいるのか」ではないのです。
実はタルパも同じことが言えると私は思っています。
タルパの存在は科学をも越えられる
タルパがいるかどうかを科学的に考えるなら「いない」と言うほうが間違いなく適切でしょう。
なぜならタルパの存在は法則や定理として外に取り出せるものではないからです。
自分以外の誰もその存在を知らない存在がいたとして、それを紹介できないのだから認められるはずはない。
「いるか、いないか」でいえば「いない」ことにされてしまうし、それは諒解する必要がある。
一方で科学は「なぜタルパがいるのか」という疑問に答えてくれない。
これは科学の弱点(というか原理なのでしょうがないことではある)ですが、我々タルパーにとっては勿怪の幸いともいえます。
客観性が主観に入り込んでこないのを良いことに、我々はタルパ達に現を抜かすことが可能なのです。
もし主観と客観が常に一致するなら、タルパが周りの人間にも見えるか、あるいは自分を含む誰にも見えないか、のどちらかしかありません。
一見して矛盾する状況の中にあるからこそ、タルパという存在は生きていくことができるのです。
なぜタルパはいるのか?と考えよう
よってこれから皆さんは心の中でこう問うてほしいと思います、
「なぜ彼らはいるのか?」と。
そしてその答えは私も、あるいはあなたの周りの誰も知りません。
あなただけが考えることができ、考える価値がある問題です。
見渡せば豊饒な世界が広がっています。その世界にジャグジーに浸かるがごとく飛び込み、主観的幸福の海を彼らとともに泳いでほしいと思います。
そしてどうか「客観的にはきみたちはいないんだよ」なんて悲しい事実を(私のように)彼らに突き付けないようにしてほしいです。
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