「東大」「クイズ」のブランド化、茂木健一郎氏の意見への所感

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ブランド化された「東大」の知性

地上波テレビが「東大」や「クイズ」を安易にブランド化して商売していること : 茂木健一郎 公式ブログ
 今日のユーチューブでも喋ったけど、東大生がクイズやる番組が流行っているみたいだけど、なんだかなあと思う。 まず、本来クイズはガチなはずで、別に東大だからって偉いわけじゃない。 イギリスのBBCのUniversity Challengeみたいに、本当にガチで、ケンブリッジやオッ

こういう記事を読みました。本質だけまとめると

東大生がクイズやる番組が流行っているみたいだけど、なんだかなあ

答えが決まっていることを、早押しで答えられても、人工知能には勝てない

「東大」の安っぽいブランド化や、今更ながらの「クイズ」に日本が陥っている

小学生なんかが、間違ってテレビ見ちゃって、将来は東大に入ってクイズをやりたいなんて言っちゃうことで、そういうのはやっぱり全面的に間違っている

地上波テレビが「東大」や「クイズ」を安易にブランド化して商売していることについては、心が寒くなる

早押しクイズをやっていて、雑学をまとめるのも大好きで、東大王を見ている私の出番なので、ここいらでいっちょ噛みしたいと思います。

クイズのエンタメ化

クイズとは「知識を極める」ような側面があります(し、そう思われてます)。

クイズ経験者は「クイズの本質は先読みだ」というでしょうが、ある程度の知識量がないことには始まりません。

しかも、今回は本質というより皮相的な部分にあえて焦点を当てる必要があります。

それが茂木氏の言う「東大とかクイズを安易にエンタメ化している」ということです。

エンタメ、大衆、皮相しか見ない人々…「彼ら」にどう伝わるかが大事。

エンタメ化する面で、テレビは往々にしてクイズのことを「知識の集大成」というように伝えがちです。それはクイズの一面しか伝えていない。

ですが、クイズにあまり興味のない視聴者には「問題の内容をわかってもらう」とか「問題の伝える知識を詳しく紹介する」よりも、

「よくわからないけど、この人達頭いいんだ!すごい」と感じてもらうのが大事なんです。

(それに対する反動が、一昔前の高校生クイズの「知識偏重→地頭偏重」方針転換だと思う)

で、クイズ経験者が嘆いても理解されない辛さがそこにはあります。

例えば頭脳王では、参加者を「人間コンピューター」とか「偏差値モンスター」とほめていましたが、あれは普通に参加者に失礼です。

人間はコンピューターとは全く違います。

間違いも緊張もするし、未知の部分を推測するのにも長けている。

そういった領域で描かれる人間ドラマがクイズの「本質」なのであって、知識をたくさん集めていることが主にすごいのではありません

茂木氏もその勘違いにはまっています。

だから私は彼の意見を「クイズ未経験者の上っ面の意見だろう」とみなしました。彼はたぶん、競技クイズをやったことがない。

でも、そうやって分断するのもよくありません。

今回の茂木健一郎氏の考えは実際、クイズ未経験者から見るととてもよく的を射ています。つまりクイズの本質に興味がない人が、同じく本質に興味がない人に広く書いたものです。

もちろん、経験者が「はぁ…これだから茂木健一郎は。やったこともないのにわかったように書くなよ!」と憤る気持ちもわかります。

私は「クイズとは知識の集積のたまものだ」とする偏見を「それは本質じゃない!」と一蹴したいし、一方で「でもそういう風にテレビで扱われがちだよね」とも感じます。

茂木氏の意見をクイズ界隈は「これは無理解だ」と侮蔑するべきではなく、そもそも経験者が未経験者に一方的に憤っていること自体、クイズ界隈が置かれている現状を端的に示していると思っています。

そしてそれは、茂木氏が「エンタメ化されている」と言いつつ「クイズはダサい」と断言していることにも表れています。

大学はクイズを極める場ではない

いったい茂木氏は何と言いたかったのでしょう。そしてクイズはどうあるべきなのでしょう。

おそらく彼が危惧しているのは「東京大学は既知の知識を集積する場所だ」という誤解が生まれること、ではないでしょうか?

実際のところ、東大王やQuizKnock(高学歴によるクイズ専門チャンネル)が「東大生の知性でクイズを攻略!」と喧伝して回っていますが、本来、大学とクイズは何の関係もありません

大学でやる「研究」はクイズにさえできないふわっとした知識の集合です。

平たく言えば「教科書に載っていない」「Wikipediaに記事がない」もの。

だから「裏を取る」(知識の正しさを検証する)必要があるクイズとは非常に相性が悪い。

だから、東大王を見て「東大はクイズが強くてすごいな!東大に入ろう」と思う子がいれば、それはミスマッチだし、もったいない、と。茂木氏はそういうことを主張しているのだと思います。

もちろん反論として「誰がどういうモチベーションで大学に入っても、その自由を侵害する権利はないだろ」というのが出てましたし、それはそれで正しいです。

ただ、大学は研究をする場、という期待が社会、というか研究界隈からはあります(それ以前に就職予備校になっていますが…)。

クイズにばかり現を抜かして、研究を『既知の知識の集積』だと勘違いする学生が増えると困る!…みたいなことを述べているように思います。

また、もう一つの反論として「結果的に学問に目覚めるなら、クイズを入り口にしてもいいんじゃないか?」というのもありました。

私はそうは思いません。勘違いがきっかけで学問に興味を抱いたとしても、それは「結果論」の話。この現状を肯定できるわけではありません。

ボヤ騒ぎ中の家があって、それを知らずに誰かがイタズラで水をぶっかけて消火に成功したとしても、やはり「水をぶっかけた」ことの罪は裁かれなければなりません。

どうすればクイズの本質を理解されるのか?

ではどうすればクイズの本質が理解されるのか?

クイズの醍醐味がよりよく伝わるには、テレビにどういう扱いをしてもらうのがよいか?

一般人が解決するのは難しいですが、理想論なら述べられます。

「読ませ押し」や「確定ポイント」の概念、それから「世界○大問題」「パラレル問題」などの種類の普及、これら「クイズをするときにほぼ必須になる」技術をクイズに並行してナレーションしてほしいです。

クイズが単に「知識の集積」だとは思われなくなるし、茂木氏のように「人工知能に太刀打ちできないのに、ダセえよ」という的外れなことを言う人もいなくなります。

むしろクイズは「無限の可能性からの曖昧な枝刈り」という、人工知能が非常に苦手とする分野です(脳科学者を自称する人がディープラーニングの原理も理解していないのは困りますね…)。

「クイザーは垢抜けてなくてダサいな」という侮蔑なら「昔からそうです」で済みますが(なんたって私もその一人なので)

やはりクイズの面白さが理解されないまま「ダサい」と言われているのは機会損失で、残念です。

ツイッターで番組を取り上げて批判するとか、ツイッターでクイズ有識者が番組実況する(追加ナレーションする)とか、

あとはやっぱり、クイズに何の関心もなさそうなひな壇芸人ではなく、古川洋平さんやQuizKnockメンバーなど、クイズを理解している人を番組ゲストに呼ぶ必要があります。

クイズ界隈の地位が上がれば、そういう働きかけもできるのかもしれません。

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