教育と言い返しは明確に違う

小学生に『オオカミってきら〜い、恐いし可愛くないんだもん』と言われたので『オオカミさんもアナタがきら〜い、決めつけるし可愛くないんだもん』と返したらワナワナして動かなくなった
https://twitter.com/Alfreddogcat/status/1339786058918023169
名も知らぬお嬢さんよ、自分が嫌だと思う事はされた相手も同様なのだよ。それは人間でも動物でも関係ないんだ
私はイヌ科の中でもキツネやオオカミなど、普段童話の中で嫌われている動物たちが大好きなので、目の前でそういうこと言われたらちょっと泣いちゃうと思いますね。
好きすぎて頭の中にいるぐらいですから。
ちょっともやっとしている
このツイートを読んで私が最初に思ったのは「ふ、複雑だ…」でした。この飼い主さんがこう思う気持ちは非常に良くわかるんですよ。
私もペット飼ってて、そのペットを馬鹿にされたら無心ではいられません。家族を馬鹿にするのと同じぐらい失礼なことです。
でも一方、この飼い主さんがしたかった「女の子への教育」が功を奏しているかというと…ビミョーなんですよね。
なぜならこの咄嗟の切り返しは二つの点で間違っているからです。
まず「動物に『特定の言葉を言われて傷つく』ほどの知能はない」というのが一つ。
語気や音の並びで犬や猫などが意図を読み取るという研究はありますが、人間のように「かわいくない」という単語の並びから「自分はかわいくないのか…」と傷つく、みたいなことはありません。
自分の言いたいことを伝えるために子どもに嘘をつくのは倫理的によくない。
これはまあ言葉の綾というか、実際は飼い主さんが傷ついたのをペットのウルフドッグさん(写真、かわいい…)に転嫁しているだけなので掘り下げても意味ないか…。
二つ目に「こういうこと言っても『怖かった』という記憶しか残らないのでは?」という懸念。
たとえば後輩や部下に何かを注意するとき、ただ「なんでそんなことをした!!」って叱っても意味がないんですね。
そういうのは「この人は怖い」「接したくない」という印象しか残らない。

いじわるな言葉や率直な感想に「うまく言い返す」
子どもに対して何か言いたければ、理想的には「なぜそれが駄目なのか」という理由を説明する必要があります。ちょうど部下や友人を注意するときと同じです。この飼い主さんの
自分が嫌だと思う事はされた相手も同様なのだ
は名言でしょう。でも、その教えを女の子に言葉で伝えてなかったとしたら「やっぱあんな怖い犬飼ってる人、頭おかしいんだな(怖いな)」ってなっちゃって終わりなんじゃないかと。
仕事で小学生と当たり前のように接していたんですが、やっぱ言う子は言います。自分が思ったことがそのまま口から出てます。
そういう子もだんだん「どういう時にどういうことを言うと相手が怒るのか」を学んでいって丸くなっていくのですが(もちろん、そうでない子もいます)、
この事例に関して言えば女の子はショックを受けて脳がバグっていたようなので「なぜ怒ったのか」に関して学習効果が薄いです。
だからこそ「うまく言い返す」ことは難しいんです。相手が子どもならなおさら。
飼い主さんは今回「強く言えばそれなりのことが帰ってくるのだと学んでほしい」という趣旨のことをおっしゃっています。同意しますが、そのやり方がこれなのはよくない。
よく言い返した!そんなことを言うガキにはこんぐらい返してやれ!っていう同意もあったんですけど、そういう姿勢ってもう「教育」じゃないですよね。
同じ土俵。大人がやっていいことじゃない。
子どもに何かを諭したいのなら、相手が言ったことばをオウム返しして「傷ついたか?傷ついたろ!」ってしちゃダメなんですよ。それはただのストレス発散です。
今回のツイートでモヤっとしたのはそこなんです。言い返したぜ!って言いたいだけなら、中途半端に「教育できたかしら」なんて言わなくていい。
こんな、他人が大事にしてる動物つかまえて飼い主に直接悪口言うクソガキなんてどんな教育も意味をなさないのだから、左右から動物に髪の毛を引っ張られてほしい!!!
ぐらいのことは私、思ってます(それぐらいペットを馬鹿にすることは許されないのです)。
でも、教育するのが目的なら、こんな方法が最善だとは思えないし、咄嗟の言い返しにセンスがあるから称賛されるべきとも思わない。
まあ、他人のブッサイクな子どもにそこまでする義理もないので、この飼い主さんは頑張って耐えたと思いますよ。
私なら「そ…そうですか…」でそのまま逃げかえってた気がします。他人の子に教え諭そうなんてプライベートならまっぴらごめん。所詮クソガキだし。
最後に
他人が好きな動物(キツネ)のことを「童話ではいっつも嫌われてばかりだよね、なんで好きなの?笑」って笑ったみなさーん、……地獄に落ちろ!!
これを読んで、なお他人を論破したい人はこちらを参考にしてください。
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