博識になりたくて早押しクイズを始めるのはちょっと違う、クイズ王になるためにやるならOK

言論
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博識と早押しクイズの強さ

私は早押しクイズに1年間ほどはまっていた経験があるので、それをもとに書きます。

大会に出たことはありませんが、早押しクイズの何たるかぐらいは知っているので、これから始めようという方がいれば参考にしてください。

早押しクイズの知識は「役に立たない」ほど良い

まず前提として「早押しクイズに出てくる知識は、全然役に立ちません」

乱暴に言い過ぎた感もありますが、本質は突いています。

当然、語弊を招く言い方なので、後でフォローしておきます。

早押しクイズで出てくるような問題…とくに○○大会、○○杯みたいな名前がついてるものはジャンルがごちゃ混ぜのものが多く、浅く広く出題される傾向があります。

とはいえその「浅く」の意味が、一般人の想像するものとだいぶ違っていることも確かです。

字義的に学問の「浅い」の意味を掴むなら「皮相的である」「表面のことだけをなぞっている」「あまり詳しくない」ぐらいのニュアンスだと思うのですが、

クイズ大会ではむしろ一見難解でマニアックな問題が重宝されます。

それはクイズの致命的な弱点でもあり、代替不可能な長所でもあります

クイズ上級者には「全員が答えを知ってること」や「お役立ち知識」を出せません。

そういう意味で、クイズとは学問と決してイコールでなく、はたまたニアリーイコール(だいたい同じ)でもありません

知識より駆け引きを重視する早押しクイズ

クイズとは、問題文を聞いてその情報から答えを1つに絞っていく、その駆け引きが面白い競技です。

だから、全員最初から答えがわかるものは問題文としての相性が悪いんですね。

だから、出てくる問題といえば、例えば

「世界三大美果とは、パイナップル、マ/ンゴスチンと何でしょう?」

(答え:チェリモヤ、チェリモア)

「第一高等学校在籍時は二塁手/として活躍し、ベースボールを『野球』と訳した人物は誰でしょう?」

(答え:中馬庚 ちゅうまん かなえ)

「黒体が単位面積、単位時間あたりに放出するエ/ネルギーは、その黒体の温度の四乗に比例するという法則を、その発見者の名前をとって何の法則というでしょう?」

(答え:シュテファン=ボルツマンの法則)

こういった、名前も聞いたことがない、意味もわからない問題が頻出します。でも別にそれでよいのです。

クイズ対策本には、この類の「一般常識」とはかけ離れたマニアックな単語が多いです。

それを「そんなのを覚えて何がいいんだ」「役立たないだろ」と批判する人はいますが、ことクイズ界隈においてそれらは全くの的外れです。

対策本を読み込んで、いかに問題文を先読みして推測して答えるかを競っていますから。

「役に立たなくね?」と言われても「それが楽しいので放っておいて!」としか言えません

「アルファベットの最初の文字は?」とか「水は凍ると何になるでしょう?」みたいな問題は出しても面白くないんです。みんなが答えちゃうから。

早押しクイズの知識は表面上で断片的である、つまり博識とは異なる

さて、日本で早押しクイズをここまで人気にしたのは東大生クイズ集団QuizKnock(クイズノック)です。日本クイズ史を語るうえではかかせません。

QuizKnockは、「東大王」「頭脳王」という番組から有名になった東大生たちによる知的メディアで、YouTube活動にも力を入れています。

家にテレビがあって水曜に電源がついているのなら、番組名ぐらいは知ってるでしょう。

QuizKnock
東大クイズ王・伊沢拓司を中心としたメンバーが、ガチンコクイズや盛り上がるゲーム、激ムズ入試問題など様々な無理難題に対し、頭脳と根性で挑戦していくチャンネルです。勉強動画もあるよ!

しかし彼らは決して「博識王」とか「雑学王」と名乗っていません。このバランス感覚はすごい。

「知識王」や「クイズ王」と自ら名乗っていますが、それは「知識」「クイズ」についての強みであって、「博識」とはまた別なんですよ。

博識というとどうも「万物に通じている」ニュアンスがあります。

歴史上でいえばフランソワ・ラブレー(ナンセンスな文学作品「ガルガンチュアとパンタグリュエル」を書いた人)、粘菌の研究に生涯を尽くし、エコロジーという単語で明治政府を批判した南方熊楠(みなかたくまぐす)なんかが博識とされてますが、

QuizKnockのメンバーとイメージが合致しません。

彼らは確かにクイズ知識がめちゃくちゃ深いですが、日常の身近な知識には驚くほど疎かったりするものです。

ふくらPは野菜や菌類について一般人よりもはるかに疎いことがわかりましたし、全体的に芸能関係の問題に弱いですし。

かつて学生クイズ3連覇をした古川洋平さんも「免許証を持たずに運転すると無免許運転になる」に「マル」と答えて間違っていて意外でした。

実際は「免許不携帯」で、こんなのは免許を取っていれば必ず学ぶことです(彼も免許を当然、持っています)。

クイズ知識はなかなか体系的に学べないので、知識それぞれは断片的になってしまいがちです。これを結び付ける営みまでやっていたら、今度はクイズに勝てなくなります。

ただでさえ時事問題を追っていって、その間に忘れた知識の復習もしなければなりませんから。

こうした知識の自転車操業に疲れ果て、30歳ぐらいで引退していくクイズプレイヤーもまあまあ多かったりします。

QuizKnockのメンバーが得た知識を生かして雑学本、あるいは学問の本を書いたりしていないのはまさしくその証左でしょう。

体系的という意味なら、そんじょそこらの大学院生のほうがよっぽど自分の学問に詳しいです。そして真に自分の血肉になるのは、案外そっちだったりします。

博覧強記(博識、博学)になるためには、ちゃんと学問をしよう

博覧強記と呼ばれる人物があくまで「一般人が知っていることは全部網羅したうえで、マニアックなことまでよく知っている」イメージなのに対し、

早押しクイズ王知識王は「マニアックな部分をとてもよく断片的に知っている」というイメージがあります。

ですから「博識ですね~!」「教養がありますね」と褒められたい、歴史や文学について語りたいのなら、むしろちゃんと高校までの学問をしっかり勉強したほうがいいです。

断片的に語れる知識ではなく、体系的に身につける知識のほうが実際「役に立つ」ので。

ちなみにQuizKnockのメンバーは日本史・世界史めちゃくちゃ詳しい(体系的という意味)ので、楽しく勉強したいのなら見る価値アリアリです。

東大王やクイズについてはこちらのように考察しています。

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