LGBTQの「アウティング問題」を聞いて面倒くさいと思うなかれ、それは人としての良心です

倫理学
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LGBTQの「アウティング」は面倒なのか

最近、マイノリティへの配慮がますます「やかましく」なっています(そう感じる人がいるようです)。ネットニュース等では「LGBTのアウティングはダメなのか」が問題になっています。

アウティングとは、

本人の了解を得ずに、他の人に公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行動

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

私は両性愛(少年愛8割異性愛2割)ですが、これを相談した友人に「あいつ実はバイセクシャルなんだよね」って感じで暴露されたら、それがアウティングになります。

幸いにも私はアウティングをしないような知人にしか性的指向を話していないのですが、以前には日本で、これによる自殺事件が起こりました。

ゲイの学生から同性愛の恋愛感情を告白された異性愛の男性が、(中略)友人ら7人にグループメッセージでその学生が同性愛者であることを暴露したこと(アウティング)をきっかけとして、ゲイの男性が心身に変調をきたし転落死

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E6%A9%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BA%8B%E4%BB%B6

「どうしても隠しておけない」という理由でLINEグループで「あいつ実は…」という流れのよう。

アウティング問題は「面倒くさい」

これを聞いた(「異性愛」の)人の中には「めんどくせえよ、なんでLGBTだけに配慮してやらなきゃならないの?」って考えの方もおられるでしょう。

気持ちはわかります。そういった配慮が必要になってきて息苦しくなってるし、そもそも「だけ」ってのがヘン。まるで自分たちの権利のことしか考えてないだろ、と。

私は当事者としてこうやって意見を述べるわけですが、いっぽうで当事者たちに合わせるその面倒くささもよくわかります。過去にはこんな記事も書いてるぐらいに。

弱者とは一般的に気をつかわれる立場です。理想的には違いを認め合えたらいいのですが、少数派が多数派のリソースを一部借りて生きやすくなる、というのが現実での落としどころでしょう。

今回でいうと「LGBTのアウティングはしてはいけない」というルールを決めておいて、多数派が少しだけ割を食うかわりに、我々LGBTQ勢が生きやすくなる、と。

「アウティング」は広義の意味では誰だろうとするべきでない

この問題を異性愛者の方に理解し(たつもりになっ)てもらえるたとえを用意しています。

アウティングは「暴露」ですから、さらに広い意味で考えてみましょう。

「私、○○くんに告白されたんだけど、どうしても生理的に無理…みんなに広めちゃおう!」という行為を考えてみる。

もしあなたがその「○○くん」だったら、めちゃくちゃ嫌じゃないですか?

告白ってのがそもそも一大決心なのだから、あんまりその気持ちをおろそかにしてほしくない。誰に告白されたとか、個人相手なら問題ないにしても、グループラインで暴露というのはちょっとやりすぎだと思います。

「LGBTは無限の配慮を求めるのか!」と言われがちですけど、「多数に一斉に誰かの性的指向などを暴露する」という話ですよ。

こんなの無限の配慮でもなんでもない、人として良心があるかどうかだけの問題です。

  • 異性愛者相手なら許されるのにLGBT相手なら許されないのはおかしい!
  • LGBTは配慮を求めるな!

とリプライがついているのも見ますけど、このような暴露行為は、たとえ相手が異性愛者であっても良識があると思いません。それこそ匿名掲示板にスレッドが建つ程度には。

「告白相手に、告白のことをグループラインで多数に暴露されても何も思わない、傷つかない」人はLBGTのアウティングもやっていいでしょうけど。そういう人ってそんなに多いんですかね?

もしそうでない、つまり傷つくのなら、LGBTのアウティングもするべきではないでしょう。LGBTも人なので。

アウティングにLGBTは関係ないのか

ただ、このたとえは無理やりでもあります。

LGBTは「あいつ実はLGBTらしい」と暴露されることが致命傷なのに対し、異性愛者にとってはまったく問題じゃありません。

「あいつ実は異性愛者らしい」と言われても、みんな「うん、…だから?」としか思わないからです。

今回の事件の本質は「○○に告白された」の「○○」が、女性ではなく男性だったことでしょう。

もしこの相手が女性だったら、普通に付き合ったり断ったりして終わりなのかもしれない。

不幸にも相手は男性だった。それで「そんなことがあるなんて!」と驚き、我慢のしようがなくなってとうとうグループラインに貼ってしまった。

同性愛だったゆえの悲劇、とみることもできます。

何かそう考えると、やっぱりアウティングってLGBTQ特有の問題だという気もしてきますよね。

しかし、こちらの記事にはとても重要な示唆があります。

非当事者のかたがLGBTQ当事者にカミングアウトをされても理解できないことは多いでしょう。
悩んだら友人やSNSに頼るのもおかしなことではありませんし、私含め当事者同士のアウティングも起りえます!
だからこそ、聞きづらいかもしれませんが本人に直接聞くことって重要なんです!

https://hajimariblog.com/authing/

アウティング問題、つまり「あいつ実はLGBTらしい」と暴露されることのコトの重大さは、異性愛者にはわかりません

他人の気持ちを完全に理解することなど、原理的に不可能だからです。

なぜ、愛する相手が違うことを罪だと思ってしまうの?普通に相手に言えばよくない?みたいな意見もリアルで耳にします。

別にそれでいいんです。で、そういうときは例え話を用いて、わかった気になってもらえばいいと思ってます(より強固なLGBT原理主義者はそれを拒みますが…)。

「オレたちのこの問題は、キミたちでいうところのその問題と同じなんだよね」

「そうなんだ!それは確かにキツそう…気を付けるわ!」

みたいな。

「異性愛者でいうと、告白相手に『私アイツに告白されたんだけど!』ってグループラインで暴露される」ぐらいの重さの事項が、LGBTアウティング問題です。

ということは、「されて嫌なことは人にしてはいけない」という程度の(多数の)倫理観に従うと、「告白をバラされたらいやなので、LGBTのアウティングもしない」という論理が成り立ちます。

あなたがもし、告白したことを言いふらされても何も思わない鋼人間でなければ、少し立ち止まって考えてみてください。

そして、どうしても抑えられないときは信頼できる友人に相談してみて、それでもなおきついのなら、電話番号03-3464-3401にかけてみてください。

パートナーとの関係、家族や友人との関係、職場や学校のことなど、性的少数者に関する問題全般について、お気軽にご相談ください。専門の相談員が相談に応じます

https://nijiirodiversity.jp/513/

悲しい選択をする人が少しでも減ることを願っています。

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