ネット民(リベラル)は差別を嫌い、多様性を歓迎するはずなのにネット苦手な人を差別する

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ネット言論における差別のダブルスタンダード

差別ダブルスタンダードは何が問題なのか

最近、差別におけるダブルスタンダードが取りざたされています。

ダブルスタンダード(ダブスタ)とは平たく言えば矛盾のことです。

特にネットでは「AについてはBと言ったのに、Aと同じケースのCではDという」ような時に「それはダブスタだろ!」と指摘する形で使われます。

例えば「黒人差別は駄目だと言ったのに白人差別はいいのか!それはダブスタだ!」みたいな感じ。

ダブスタの何が問題なのか。

「反差別主義」と呼ばれる思想は、当然その前提に「人権の尊重」があります。人権とは人が生まれながらにして持つ権利と公民で習いましたが、そこにはさらに深い意味が隠されています。

生まれながらにして持つということは、人権は絶対に剥奪されないのです。反差別を唱えるなら、この前提は忘れてはいけません。

人権が剥奪されないものだからこそ、反差別が重要になる、と。

では人権尊重の考えは何に由来するのか。これはもう自明ですね。

人類みな平等、という意識です。

AとBが平等だとする。BとCも平等である…。これをやっていって全ての人間を「平等である」と確かめたのち「平等ならば、みんなそれぞれ同じだけの権利を持っている」と結論付けます。

そうして生まれた考え方が人権で、だから人権尊重はその根底に「平等」があるはずなのです。

ここで、ある人間に対する罵倒は「差別だ!」と攻撃し、また別の人間に対する罵倒は「うん、それはまあ言われてもしょうがないよね」と許容してしまう「半・反差別主義者」がいるとしましょう。

この人は果たして、真の反差別主義者でしょうか?もちろん、違いますね。

なぜ我々が誰をも差別してはいけないのかというと、

  • 一人一人の価値が平等であり
  • 生まれながらにして誰もが人権を持つ

からです。ゆえにこれらの前提を認めたまま反差別主義運動をするのであれば、「誰に対しても」反差別的な言動を続ける必要があります(そしてそれは非常に難しい)。

当然、反差別主義を掲げないのなら、この類のダブスタをしても咎められません。あくまで「反差別という旗印によって他人を批判する」人間にのみ、この高潔な精神が求められます。

では、ネットで反差別を唱えている人々は、本当にそれを実践できているのか?

今回考えたいのは、彼らが多様性を大事にする割に「ネットが苦手な層」への差別をしているのではないか、という疑問で、それを論じていきます。

ネットリベラルはネット苦手民を差別しているか

今回もリベラルの牙城である「はてな民」に登場いただきましょう。

正直、ネットの場末もいいとこなのでそろそろ紹介するのも飽きてきましたが、やはりすべてのプラットフォームの中で最も「差別反対」を掲げているのがここなので…。

例えば、NTTドコモによる若者向け低価格5G対応プラン「ahamo」のはてなブックマーク人気コメントでは以下のように、低リテラシー者を揶揄する内容が見られます。

“ニューノーマル時代を切り開いていくデジタルネイティブ世代にフィットした”この表現気に入った。低リテラシー排除の話題の時に使うことにする。

https://b.hatena.ne.jp/entry/4695097143711351586/comment/songe 赤字は筆者

まさかのガチで来た。固定回線や家族割なしで素で2980円。通話5分定額と超過しても1Mbpsってのも大きい。どれだけ情弱の介護(窓口サポートとキャリアメール)にコスト背負わされたのか、、、

https://b.hatena.ne.jp/entry/4695097143711351586/comment/neojin 赤字は筆者

これ、既存のドコモの料金にはドコモショップでなんも分からん人達を介護する料金がどっさり乗ってたって事なんだろうな……

https://b.hatena.ne.jp/entry/4695097143711351586/comment/koyancya 赤字は筆者

こうしたコメントに100人単位で「いいね」がついている現状は情けないですね。もちろん、これらの風潮に異を唱えるコメントもありました。

情弱とか老人とかクレーマーとか介護とか、はてなの人たちが自分たち程度の情報リテラシーを持たない人をどういう目で見てるか分かるブコメがいっぱい。自分も別の分野で弱者になる可能性を想像できないのだろうか

https://b.hatena.ne.jp/entry/4695097143711351586/comment/sisopt 赤字は筆者

この風潮は「はてな」に特有ではありませんが、「はてなではエンジニアというとITエンジニアをさす」とか「ITリテラシーが高く、英語学習に興味があり、プログラミング系の記事がバズる傾向がある」という前提を知っておくと、コメントへの見方が変わります。

普段から「反差別!多様性こそが大事だ!」という錦を掲げている人が、一方では「情弱介護にコストを支払わされてたのか」と述べるグロテスクなインターネット空間は今日も平常運転です。よかったね。

優生の優って誰が決めるの?今の時点で判断するのは近視眼すぎる。最大限短い期間で生きてる期間だけとしても価値観は変化する。1000年後を考えたら?歴史を振り返れば多様性こそ生き残ることがわかるはず。

https://b.hatena.ne.jp/entry/4695097143711351586/comment/sisopt

これ「優生思想の何が悪いのかわからない」という記事へのコメントですよ。さっきの「どれだけ情弱の介護にコストを」って書いてた人と同一人物ですよ。

歴史を振り返れば多様性こそ生き残る、と言いたいのなら「情弱の『介護』」なんて言葉は使っちゃいけないでしょーが。

そうした品性のない言葉の数々を見ていると「あぁ、反差別っていうのは結局、自分が攻撃されないようにするための『武器』なんだなぁ…」と、マタタビをかいだネコのような気分になってしまいます。

さっきの記事の600件あまりのコメントのうち「情弱」は15個で、そのうち10件が情弱に批判的なコメントでした。

自分がすでに持つものに人間は得てして非自覚的であり、それを自覚するところから反差別は始まります。そういった自戒の念がない人が「多様性こそが大事だ!」と説いても全く説得力がないのです。

マッチョでいることとマッチョであると自覚することは違う

私は、ある「弱者」についてマッチョでいる(強者の論理で彼らをみなす)のが悪いと述べているのではありません。大事なのは、そのマッチョさを自覚できるかどうかです。

私も、当ブログで反差別について語りながら、ある点についてかなり自己責任論的です。

中学レベルの学問を履修せず、むしろ学問へのコンプレックスをこじらせて「本を読んでも金が稼げなければ意味がない」と言い出す人を「ケッ!」と思っています。

それはもちろん、私が勉強を苦手と思ったことがないからです。苦手な人達のコンプレックスを理解できないのです。「え~、勉強やればいいじゃん、楽しい教材あるんだし」と思ってしまいます。

そして、携帯ショップの店頭で「オレもahamoを使いたいんだが!」とキレてるおじさんを見ると他人事ながらイライラもします。

でも、私はそのイライラやムカムカを言語化して、己の中にある差別心と向き合っています。

これだけ電子の網が世界中を心地よく包んでも、いまだに固定電話とテレビしか情報取得手段がないお年寄りが山ほどいる、という現実を、我々「インターネット強者」は自覚できません。

自覚できないからこそ「最新技術にキャッチアップできない情弱は『自己責任だ』」なんて、どこかで聞いたようなあまりに一方的な論理を押し付けてしまう。

しかしそうだというのなら、せめて今現在自分が強者側にいられるのは「たまたま」であって、いずれほとんど必ず弱者になっていくのだと認識したいものです。

もちろん「俺はずっと強者であり続ける!生き延びる!」と、デスゲームの参加者みたいなことを言っている人もいてよいです。

それは構いませんが、やはり人間、どこかの年でそういった最新技術から離れて、だんだん取り残されるのだと思います(そうでない人間も稀にいますが…)。

なぜなら人間は、若い時に触れた技術が最も新しくて便利だと思ってしまうからです。それよりも後に出てきた技術は「なんとなく」「必要ないから」敬遠している。

すると、知らないうちに自分の時代の技術は新技術に置換されていて、もうそのころにはキャッチアップする技能も気力も知識もなくなっている。

「まあ、この技術はおれが知ってるアレと同じだからいいか…」と敬遠していたら、実は一つ次元が上の技術だった、という。

自分が常に強者だと思えるのは若者の傲慢な特権であって、そんな特権が手から離れていたことにも気付かず、「時代の変化を間近に見れる」特別席から離れ、三階の立見席に移動させられているのです。

私がすでにTikTokに出遅れてしまったように、ツイッターのフリート機能や音声送信機能に見向きもしないように。

そしてたぶん10年後には「まだLINE使ってるの?」と息子に言われ、50年後には「まだ有線通信!?脳波コントロールもできないなんて…これだから情弱は」とネットで言われているのです。

まあ、インターネットリベラルの自称「強者」について言いたいのはそんな感じです。

自らが強者であることを自覚できれば、人にやさしくなれますね。

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