先鋭化したフェミニズムへの幻滅と諦念

インターネット
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フェミニストやフェミニズムへの幻滅

この記事はもともと「男でもフェミニズムを学べばいいことがあるよ!」という布教活動を目的にしており、以下の一節がありました。

私はフェミニストです。その価値観は私の体験や考え方に根差すもので、「フェミニズムを利用してモテたい」というような、不純な動機ではありません(そもそも私はバイセクシャルです)。

インターネットではフェミニストはマイナス評価の代名詞で「めんどくさい」「男性差別的」との烙印を押されています。

この風潮を心苦しいと思うこともありますが、現実世界でいろいろやっています。

全国フェミニスト議員連盟と表現の自由の騒動

上に書いてたことはけっこう(以前は)信じてたんですけど、今はもうなぁ。

なんか「ほんとに自分のことフェミニストって自称していいんだろうか?」みたいな疑念が生じてきたんですよね。

フェミニズムの本は何冊か読んで「ふむふむ、こういう考えなのね」と価値観をインストールして、できる限り身の回りで平等が達成できるよう、自分なりに活動してきたつもりでした。

しかし、以下に示す事件がきっかけで幻滅してしまいました。

千葉県警松戸警察署らが作成した、ご当地VTuberの「戸定梨香」(とじょう りんか)氏による「自転車交通ルール」の動画について「全国フェミニスト議員連盟」なる組織が警察に対し、動画削除を求める抗議文を提出。

女性議員を中心に編成された、フェミニストの観点から反差別を進めるという組織です。

外見に「女児を性的対象物として描いている」と抗議の声があがりました。
セーラー服のような衣装にミニスカート。さらに「動く度に大きな胸が揺れる」「おへそを露出している」姿が「女性の定型化された役割に基づく偏見を助長している」というものです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211004/k10013281331000.html

組織による声明文は以下。

https://www.facebook.com/afer.fem/photos/a.1263766637066334/4215714258538209/

要するに「性犯罪を誘発すると思うので、女性を性的な対象としたキャラクターを採用するのはいかがなものか」という内容です。警察は動画を削除しました。ただし理由がこの声明かどうかは明らかではありません。

県警の担当者は削除の理由について、本紙の取材に対し、もともと動画の期限が9月17日までだったことに加え、「部外からキャラクターが不適切ではないかとの意見があったことや、子ども向けの動画としていた製作したのに、本来の意図とは異なる形で興味本位に受け取られてしまう懸念が出たため」と説明

https://www.tokyo-np.co.jp/article/135429

これに対して表現の自由を重んじる界隈は悪い意味で沸き立ち、ネット論客の青識亜論(せいしきあろん)氏(@BlauerSeelowe)らが全国フェミニスト議員連盟に反対声明を発表有志にインターネット上の署名を求め、6万超が集まる事態に。

で、議員連盟はこの声明を完全に無視し、10月8日に会見を開きました。

議連は8日、会見を開いた。議連は「表現の自由の問題ではなく、Vチューバーのことも問題にしていない。警察が子ども向けの交通安全動画に採用したことを問題視している」との見解を示した。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/135429 赤字は筆者によるもの

ま、いつものですね。Twitterを渉猟しているとこの類の「フェミニズムVS表現の自由」ファイッ!!な感じの議論は見受けられてて、そのたびに「あ~、やってんなあ」と思いながらスルーしてきていました。

スルーしていたのは、まあ所詮はネットの騒ぎだもんなあ、コップの中の嵐だよなあと私が思っていただけなんですけども。もはや日本ではTwitterの騒動はマスメディアも看過できないほどの影響力をもつからなのか。

この状況だと一般人も「フェミニスト」なる用語を知ることになって、そのうちもう「クレーマーが何か言ってるな」みたいなことになりかねないなと。

実際NHKの取材でも、くだんの動画について「問題がある」と答えたのは20人中1人だけだったとのことです。

20人に取材したうち、一番上のコメントにある「女子高校生」以外の19人が「問題ない」と答えました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211004/k10013281331000.html

問題ないと答えた中には当然、女性の方々も含まれています。同性から見ても問題ない表現を「犯罪を誘発しうる。いかがなものか」として削除要求する姿勢、どうなの。

アララと思って調べてみると出てくる出てくる…。フェミニストの失言が…。

フェミニストの失言と幻滅

詳しくは以下のツリーをご参照ください。

近年、乳房縮小術は世界中で大きな関心を集めるようになっているので、この機会にそういう選択肢があるということを、若い女性に知らしめるのは良い機会かもしれません。英国では「胸が大きいばかりにバカ女の役しか得られない」という女優さんによる深刻なドキュメンタリーもありました。

https://twitter.com/tawarayasotatsu/status/1188435648409030656

いわゆる、そうした日本の童顔・巨乳、でか尻、足細の女性キャラって、一昔前の言葉で、使うことにも躊躇しますが「奇形フェチ」だと思うのですよね。昔の中国の纏足につながるような身体形成で、それは正に男性による女性のモノ化であり、人権・人格否定。

https://twitter.com/tawarayasotatsu/status/1188259291347611648

上のツイートはかなり大げさで過激な物言い(アンチフェミニズムととらえられかねない)ですが、それでも私にとって今回の件はかなり幻滅的なイベントでした。

「マトモなフェミニスト」がいるとすれば、それはたぶん物言わぬ一般市民の中にであって、著名なフェミニストではないのだろうなと思わされるほどの衝撃でした。

そりゃあもちろんフェミニズムがそういう思想の人たちばかりで構成されているとは思いませんよ。

思いませんけど、権威が残念である学問が全体として真っ当であるとはあんまり感じられないんじゃないでしょうかね。これについて、社会学の研究者も苦言を呈しています。

この方が「まともな」研究者なのか判断できるだけの学識は私にありませんが、現職の研究者に対してぶつけられる、反社会学者の批判や非難は相当なのでしょう。

それらの中にお門違いなものが多々含まれていることを考慮したとしても、もとの原因は著名な、そして失言を失言と思わない社会学者(社会学者の中にはフェミニストがおり、フェミニストの失言もおそらく原因になっています)がいることなのですよね。

上野千鶴子氏は「ラディカルフェミニズム」という思想を打ち立てた、日本のフェミニズム史の中ではトップクラスに著名な学者です。フェミニズムを語るなら外せません。

その彼女が「不利なエビデンスは隠す」と口にしたと…。

この部分、実際に本を買って読んでみたのですが、前後から判断しても確かに「不利なことは隠す」みたいなことを言っていて驚きました。

フェミニズムはもうだめなんじゃないかというあきらめ

隠すのはあくまで「社会運動としてのフェミニズム」の話であって「研究としてのフェミニズム」ではないという言い分はあるにせよ、そもそも研究が社会運動と連帯しているのはいいのかって話ですし、学者という立場でモノ申してきた人がそれを言い出すと信頼性が揺らぎますし。

小熊英二氏の「社会運動家としては正しい」というのは(おそらく)一流の皮肉で、社会運動家として自分に不利なエビデンスを隠すのはいい(けどね…研究者でそれをやるとねぇ)みたいなニュアンスが込められていると感じました。

まあ、なんかこう、そういう感じの失言が回ってきて「フェミニズムはもうだめなんじゃないか」みたいな諦観を抱いたのです。

勉強してフェミニストを自称してきた私でさえそう思うのに、ましてやフェミニストに対してうっすら嫌悪感のある人々にとって、彼(女)らの残念な発言はどう映るでしょう。

すもも(@sumomodane)氏の調査によれば、男性ではフェミニストを「印象がよくない」と答えた人のほうが(印象がよいと答えた人より)多いそうです。

また20歳~29歳の女性でも、印象がよくないと答えた人は、印象がいいと答えた人より2.6%多かったそうです。

若い女性という、もっともフェミニズムの恩恵を得られなければならない人々にうっすら嫌われている可能性があるのは残念です。

また、社会全体をよくするには男性の協力が不可欠であり(決して「女性は男性におもねよ」という意味ではありません)、その男性からも悪印象を抱かれてしまっています。

なんだかなあ。

Twitterでドンパチやってる人たちの中でも過激な思想の人ばかりが目立つという構造があるにせよ、一部の「ツイフェミ」なんて揶揄される人たちの残念な発言とか、著名なフェミニストの失言ばかりが取りざたされて、フェミニズム全体がそれこそ「似非学問」「インチキ」「根絶すべき」ってなっちゃうの、本当に悲しいんだよなあ。

でもたぶんテレビで初めて騒動を知る一般人にそういう裏事情は伝わらない。「またクレーマーが何か言ってるわ」ぐらいの解像度で理解されてしまうんでしょうね。

まだフェミニストであることを諦めていない一個人として、現状は本当に絶望的です。とりあえず、ネットと日常は切り離して、できることをやっていくしかないのかもな。

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