#ラブタイツ議論

文化の日だからか、すごく文化的なことでひと悶着あったようです。「#ラブタイツ」というハッシュタグで広告をしていたタイツメーカーのATSUGI(アツギ)が炎上しました。
アツギを履いた女性たちのイラストを絵師さんたちに描いてもらって、それを公式がRTしていたのですが、中にはそういう類の宣伝としてふさわしくないものもあって「PVする層を間違えている」と批判が来た、という感じ。
これは「エロくない!エロくないぞ全然!ツイフェミがまた騒いでるのか!」と矮小化されるものではありません。
私のような男性、しかもまあまあオタクが見て「いやこれはアウトでしょ」となるようなものでした(画像はもう消えてますが、スカートをたくし上げて魅惑するポーズもありました)。
これ、たとえばオムツメーカーが、オムツをはいた赤ちゃん(がこちらを見て誘惑している)イラストを描いてもらって、それをRTしてるようなもんですよ。
それを見て「よし、買おう!」ってはならないと思うんですよね。
あるいはプロテインメーカーがゴリッゴリムキムキのBL絵を描いてもらってRTするとか。
宣伝の方法として不適切なんです。
ツイフェミが頑張って燃やそうとしてるってのは誤認で、「18禁イラストもあるpixivの中の人ならこういう企画は人気になっただろうに、なんでよりによってタイツメーカーが……」という感じ。
いつものように「性的消費してる」という(個人的には意味不明で、しかも射程があまりに広大な)言論を振り回していた人は別として、とりあえず宣伝の方法として良くなかったのは確かです。
広告担当(Twitterアカウント管理者)が女性だったこと
それはいいんですけど、広告担当の人が「オッサン」である、という思い込みに基づいてぶっ叩いてる人もいて、これはなんだかなぁ、と思った次第です。

上のまとめは明らかにフェミニストを「ツイフェミ」と馬鹿にしてそのダブスタを叩きたい、という意図が透けて見えるまとめなので参考程度なのですが、

実際にこんな感じのことを言っちゃう人もいて、それはちょっとよくないなと。
今回の論点は「宣伝方法が不適切であった」ことであって、性的消費が~とか女性の抑圧が~という問題ではないでしょう。
特に性的消費というワードは射程が広く、気に入らないものを叩くときに使うと認識されています。もうウンザリって人も多いでしょう。
そもそも中の人が女性か男性か、というのはこの問題には関わってこないのです。女性だろうが男性だろうが批判される一貫性が(外から見て)必須であるように思われます。
もちろん「そんな一貫性はいらない!」という人もいてよいのですが、そんな風に相手の性別で態度を変えるような運動を、誰が支持するでしょう。少なくとも私は乗りたいと思えません。
一度「あちゃー」ってなってくれよ
私が言いたいのは、こう「中の人はオッサンだろ!」という差別発言を容易にしちゃってることに気付いてほしい、ということと、中の人が女性だとわかったとき、スムーズに「女性でもダメでしょ」という方向の非難にもっていかないでほしいということ。
一度あちゃーってなれよ、っていう話。
「中の人はオッサンだろどうせ!」は普通にオッサン差別です。
また、中の人の性別が論点だと思って「オッサン叩き」をしたのなら、まずその認識が誤っていたことを認めてほしいのです。「すみません、女性でした」がほしい。
「どうせオッサンなんだろ?」と思い込むこと自体ちょっと反差別主義者としてアレなんですが、それはそうとして人間は間違います。
でも、間違ったことを認めて「あちゃーやってしまった」ぐらいは言ってもらえないものか。
これがないと、言論者としての信頼に大きく響くと思うんですよ。
ちなみに一番アクロバティックなオッサン叩きは「中の人は女性だけど、上司のオッサンに命令されていやいやながらやっていたに違いない!」というものでした。ここまでくると何も言えません。

この対談を見ても分かりますが、担当者さんは女性で、タイツが好きで、自分の意志でやっているように見えます。
性別にかかわらず、不適切を不適切と言える空気が必要だ
オッサンがやったからとか女性がやったからってのはどうでもよくて、性別にかかわらず、不適切な宣伝をしたのなら批判する、そうでなければ受け入れる、この一貫性が今回の騒動にはあまりないように見えます。
そういうのを批判する人は残念ながら観測範囲に入ってきていません。
この件でやたらフェミニストが叩かれていまして(無関係では?とは思いますが)私もフェミニストなのでここでちゃんと指摘しておきます。
相手が女性でも男性でも、駄目なものは駄目と言える界隈。それを目指しませんか。
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